阿部ブログ

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9月から連載開始の「半農半Xのススメ」のご案内

 

2年前に書き始めて今年の7月に屋上菜園物語20話目を無事書き終えることができました。

読者の皆様には長期間お付き合い頂き、誠にありがとうございました。区切りでもあ

りますので、1冊の本にする予定です。

 

これから一休みしてから私の半農半Xの日々を日記のような形式で書いていきたいと思い

ますので、引き続きお読みくだされば幸いです。

 

私の半農半X生活は始めてから今年で10年以上になります。半分は農作業、もう半分は私の

本業というか、ライフワーク的仕事です。基本的なワークパターンは、農作業は土日祝、

仕事は月曜日から金曜日ですが、農作業が忙しい時はウイークデイでも畑に行くことがあります。

畑の面積は約100坪、330m2です。かなり広いです。有機的栽培をしていますので

労働集約的です。片手間ではできません。野菜は自給自足しています。

 

半農半Xの場合、農作業にも本腰を入れ、仕事にも本腰を入れる、という覚悟が求められます。

元気でないとできないライフスタイルです。それほどまでしてなぜ農作業をするのか、

と聞かれそうですが、答になるかどうか分かりませんが、農作業は始めてみると面白く、

心身共に私を鍛えてくれました。自然のリズムの中で生きる喜びを与えてくれたのです。

 

そんな経験を踏まえ、2009年から時代物の「欅風―江戸詰侍青物栽培控」を5年間かけて

書きました。2014年に自費出版しました。屋上菜園物語は2017年から書き始め、

2年間かけて20話が完成しました。これから2年かけて「半農半Xのススメ」を書いていきます。

どんな内容になるかまだ見当がつきませんが、何かしらの意味のある日記風の

読み物にしたいと思っています。

 

9月1日からのスタートを予定しております。

 

                           2019年7月15日

                                阿部 義通

 


1月19日(火)日本的霊性と農耕

日本人が田畑に対して独得の意識を持っていることは、とても大事なことのように私には思われる。内村鑑三の『代表的日本人』の上杉鷹山の中に以下のような文がある。

藩主、執政、郡奉行、代官、教導出役、廻村横目の全員が礼装して春日神社に参拝し、その後最近開かれたばかりの土地に藩主以下鍬を入れ、最後に農夫が鍬を入れる。

「これは今後、大地が神聖なものとして扱われ、生活に恵みをもたらすものは、すべて大地から与えられるという期待を公然と宣言する意味」があったと内村は述べている。現在の私達に命の糧を産みだす大地に感謝の気持ち、大いなるものからお預かりした土地という気持ちがあるだろうか。同じく『代表的日本人』の二宮尊徳の言葉も示唆に富んでいる。

「万物には自然の道がある」

「自然の道を探しだし、それに従わなくてはならない。それによって山は均され、海は排水されて、大地は我々の目的の役立つようになる」

自然の道を探しだし、目的に役立つようにするためには、自分を自然の一部と思い、内側から自然の摂理を体得するための不断の努力、研究が求められる。怠けずに、またある時は大地の恵みの少なさに失望しないで続けるためには、それを支える道徳意識、倫理観が重要な意味を持つ。二宮尊徳はそれを体現した農民聖者だった。

日本的霊性は大地から生まれるとは鈴木大拙師の見解だ。今日において、私達は農耕について新しい道徳意識、倫理観を持つ時期に来ているのではないか。

 


1月18日(月)屋上菜園ガーデンを造る場合の注意事項(2)

屋上菜園の2番目の注意事項は人口密集地の都会の、その建物の屋上で野菜栽培をするので「化学農薬を使わない」ということである。農薬は使う際に風で飛散する恐れがある。隣のマンションには赤ちゃんがいるかもしれない。幼児がいるかもしれない。もし屋上で栽培する人がマスクなどして農薬散布などしていたらそれに気付いた隣近所からきっと苦情が来ることだろう。私達が無化学農薬にこだわり、有機栽培をする理由の一つだ。飛散ということでは屋上菜園で使う資材にも気を付けたい。風で防虫ネット、マルチングシート更には支柱などが飛ばないようにしたい。また屋上で作業している時にビニールの袋なでうっかりしてそこいらへんに置いてしまうこともある。落ちた場所によっては大事になる可能性もある。架線にひっかかって電車を止める事態になったり、シートが道路に落ちて自動車事故が起ったりするようなことは絶対に避けなければいけない。事故が起ってからでは遅いのだ。

 


1月17日(日)ナスにはナスの実、 人には人の実

今朝、「朝の詩」1982-2002 新川和江編 幻冬社 を読んでいたらこんな詩に出合った。

 

なすには

なすの花が

きゅうりには

きゅうりの花が

そして実が

 

人間には

人間の花が咲きますか

人間の心が実りますか

 

大阪府高槻市のTさんの詩だ。この後Tさんは次のように続ける。

 

ナスの花や

きゅうりの花を

みているときらっとひかる

いのちがみえる

心がみえる

 

後半の部分は菜園でなす、きゅうりをつくっていると「みえる」ように思う瞬間が確かにある。それはそれとして、私がこの詩を読んで考えさせられたのは、人間の花、人間の心の実り、というところだった。この問いが私のこころに迫ってくるのは、私はまだ花を咲かせたという経験がなく、従って実をつけたという実感がないためかもしれない。70歳代になって咲かせる花は最初で最後、つける実も最初で最後、と思わざるを得ない。そうならば渾身の力を振り絞って花をつけよう。ナス、きゅうりをお手本にして。


1月16日(土)武蔵野農園で作業・腐葉土の切り返し

今日は午前中は仕事、午後は畑ということで昼食後、自転車で武蔵野農園に向った。畑には誰もいない。畑の野菜の様子を見た後で、腐葉土をつくっている場所にいく。先週最初の切り返しをした時、枯葉を追加し、米ぬか、鶏ふんを撒き、水を掛けた。今日枯葉の中に手を入れてみると暖かかった。発酵が順調に行っている。そこで隣の2番目の腐葉土の切り返しをして、1番目と同じ作業をした。こちらも1週間後には発酵が始まっているだろう。作業をするために2人、菜園仲間が来た。いつ頃今後とも使えるかどうかの結論が出るか、おおよその話を聞いた。私が借りている場所はもともと水田だったところを土地改良ということで建設残土を盛ったところなので、いわゆる畑の土ではなく、まさに赤土なので、これから腐葉土などを入れて土壌改良をしようとしていたところだった。

切り返し作業が終ったところで屋上から移植したブドウが催芽しているかどうかと見たがまだはっきりしない。

今日はこれで作業を終了して、新河岸川の土手を歩く。5000歩ほど歩いたところで切り上げて家に戻る。自転車での往復を入れて2時間半の作業だった。4時半を回っているが、まだ明るく陽が伸びてきていることを実感する。

 


1月15日(金)屋上菜園ガーデンを造る場合の注意事項(1)

屋上を菜園ガーデンにする場合、注意することがある。個人用と業務用で少し違うところがあるが、注意する共通ポイントは2つだ。

1.屋上はもともと使わない場所と考えられていた。事務所ビル、商業ビル、マンションなどでは電機設備、給水槽などの機器が設置されている場所で、立ち入り禁止になっていた。また滅多にないことだが、屋上に上がった人が屋上から飛び降りる恐れもあり、積極的に活用する場所ではなかった。20年以上前のことになるだろか、銀座の資生堂本社の屋上を見学したことがある。販売員の疲労回復のためということで、小石を埋め込んだ道があった。その道を裸足で歩くと小石が足裏のツボを刺激して疲労回復に役立つとのことだった。資生堂の新規事業への取り組みだった。

私が屋上の新しい利用法として屋上菜園に取り組んだのは10年前だった。その時は主流は屋上緑化で盛んに言われたのはビルのヒートアイランド化対策が主な目的で、屋上菜園はいわばつけたしだった。

現在は商業ビルで屋上緑化、菜園を一般開放しているところが出てきている。不特定多数の人が屋上に上がってきた場合、飛び降りなどの恐れが出てくる。そのため商業ビルでは塀の上部にねずみ返しのような金網を張っているが、事故を未然に防止するためガードマンが一日巡回している。

個人宅の場合は、屋上利用者は家族なので、問題はないと思うが屋上で友人を呼んでホームパーティなどする場合、子供が誤ってフェンスから落ちないように安全対策をとっておく必要がある。

 


1月14日(木)新しい菜園確保

武蔵野農園が場合によっては使えなくなる可能性があるので、早速別の菜園探しに入った。以前から目星をつけていた菜園に行ったところ、運よく、100㎡前後の面積の畑を借りることができた。現在の武蔵野農園の面積はブドウ園の部分を加えると、400㎡ぐらいあるので約1/4になるが、100㎡あればそれなりにできる。志木市がこれから募集する市民農園もあるので、そちらも応募する予定だ。1区画30㎡前後。農地は相続の関係などもあり、突然返してくれ、と言われる。その場合はただちに原状回復して返さなければならない。株式投資では分散投資という方法があるが、市民農園についてもリスク分散のため複数の菜園を持っているに越したことはない。作業効率は落ちるがそんなことも言ってられない。一旦自分で有機栽培を始めて有機野菜を食べ始めると止められなくなる。

菜園についても一種のポートフォリオが必要と言えば、ちょっと大げさになるが、そんなことも考え始めている。

 


1月13日(水)エバーノートの利用

野菜栽培関係のデータをエバーノートにアップするということで私のIT家庭教師でもあるTさんに教わりながら、アップするデータの内容構成を固め、まだ僅かだが、データのアップを始めた。エバーノート利用の動機は3つある。

1.まず自分の今迄学んできたこと、経験してきたことを体系的にまとめてみたい

2.4月から屋上菜園の利用者の栽培指導をすることになっているので、現場で説明するためにデータをパソコンと同期化したI-Padを使って説明したい。写真、動画、絵などを使って説明すれば利用者にとっても分かりやすいだろう。

3.利用者の相談内容などもアップしていけば、検索機能などを使ってQ&A集、たとえば「100のQ&A」のようなパンフレットのようなものをつくることができるだろう。

案ずるより産むが易しという諺があるが、毎日少しづつでもアップしていけば、段々使い方も分ってくるのではないか。

 


1月12日(火)食物の鉄分と心臓への効果

テレビを見ていたら「たけしの家庭の医学」で心臓にとって効果的は栄養分について特集していた健康を維持するためには1日10mgの鉄分の摂取が必要だが、最近の食生活では鉄分不足が顕著になってきて、それが心臓病にも関係しているとのことだった。テレビでは、池袋大山の総合病院の専門医師と料理研究家が鉄分を多く取れるメニューを開発し、実際に効果を確認していた。鉄分を多く摂れば、一旦衰えた心臓も元気になるとのこと。そこで早速エゴマについて調べてみたところ、エゴマは150gあたり24.6mgの鉄分を含んでいることが分った。一食あたりの目安が3.49mgですので、エゴマの場合1食あたり21g摂取すれば良い、ということになる。エゴマの鉄分の多さはゴマなどに比べダントツだ。今後はαーオレイン酸だけでなく、鉄分も注目されることになるのではないだろうか。因みに野菜ではバジルが多くの鉄分を含んでいる。そのうち「鉄分野菜」という分類も出てくるのではないだろうか。

 


1月11日(月)ウツと菜園生活

随分昔の話になるが、仕事でもプライベートでも大きな試練に直面しどうしようもなく落ち込んだ時があった。何をやってもうまくいかなかった。悪循環が続いた。そのため、何をやるにも気力が出てこなかった。うつろな状態で、こんな状態がこれからも続くのかと思うと絶望的な気持ちになった。そんな時、志木市で市民農園の募集があった。家内が教えてくれた。応募したところ抽選で当り、3mx4m程の面積の畑を借りることができた。初めてだったので、簡単な野菜から栽培を始めた。ミニトマト、シシトウ、モロヘイヤ、ナスなどだった。それが今日に到る迄野菜づくりをする出発点、原点になった。原点というのは野菜づくりをしながら「生きようとする意志」に触れることができたからだ。

ある日畑の雑草を抜いていた。雑草は畑ではいわば邪魔者だ。ところが私は雑草を抜いた時、閃きのように雑草の生きようとする意志を感じたのだ。今にして思うと雑草が私に声をかけたのかもしれない。誰からも大切にされず、実際には名前があるのに、雑草扱いされている雑草がなかなか抜けない。自分も誰からも相手にされず、居てもいなくても良い存在のように思い、生きていてもしょうがないと思っていた。抜かれてもいいと思っていた。しかし、目の前にある雑草は抜かれまいと頑張っている。結局私はその雑草を抜くことができなかった。そればかりでなく、「ありがとう」と言っていた。

畑仕事をしながら私の気分は段々好転していった。雑草も野菜も「生きようとする意志」を持っている。今でも私はその気持ちを日々新たにしている。

 


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